タロットカードを読む〜3月はどんな物語〜
こんにちは!なかむらむつらです。
あっという間に2月が終わり、春の気配が日に日に濃くなる3月に突入ですね♪
2月のタロットカードを振り返る
2月の初め、どんな月になるかをカードで引いたところ
この3枚が出ていました。
左から、『ソード10』『運命の輪』『カップ10(逆)』
『運命の輪』と『ソードの10』は「今こそ向き合う」
実際、私にとってどんな月になったを振り返ると、約20年住んだ土地を離れて、生まれ故郷へ引越しをするという大転機がありました。
これは『運命の輪』が示していることで、今まさにそうすることが必要だったのだと思います。
同じく『ソードの10』のカードは「カルマ」を表しますので、ますます、この2月に起こったことは向き合わなければならないことだったんだなぁと納得。
引っ越しに伴い、物理的にはもちろん、精神的にも、自分にとって何が必要で何が必要でないのかを、強制的に見極めさせられることになりました。
『カップの10(逆)』が示す「見せかけのつながり」
特に人間関係は、最後に会えた人、お互い気にはなっていたけどタイミングが合わずにそのままさよならした人、なんとなく引っ越すことすら伝えられずにさよならした人、色んなお別れの仕方をしました。
その中で、自分にとって、離れても必ずつながっていられるだろうと思える人とそうでない人が、はっきりとわかりました。
そのあたり、人間関係や家族的なつながりを表す『カップの10』が逆位置で出たことは、見せかけのつながりや愛情を表していたのかもしれません。
シンプルに、大切な人、好きな友人と離れてしまうことへの寂しさや悲しさもここに出ています。
小アルカナ『10』は「完了」
なんにせよ、2枚の「10」のカードが出ているので、「完了」「満ちる」「天井」ということで、次への手放しに入っていることがわかります。
引っ越しということで、新しいスタートのタイミングではあるのですが、この2月は「手放し」の方が大切だったんだなぁと感じます。
ちゃんとスタートラインに立つため、余計なものは持たないで、置いておく、終わらせる。
そんなふうに、濃くて、今後を大きく左右するような2月でした。
3月のカードはこの3枚
では、いよいよ新生活本番の3月はどんなカードでしょう!
まず、ジャンプカードで、最初に『愚者』が飛び出してきました。
それから左から順番に『ペンタクルの3』、『ワンドの3(逆)』、『ワンドの7』の3枚です。
ジャンプカードの『愚者』は自由にとらわれない心で
ジャンプカードの受け取り方は色々ありますが、私は質問に対する全体的なメッセージだと解釈します。
新生活が始まったところでのこの『愚者』のカードは、まさに新天地でのワクワク感を象徴しているようで、とても楽しみな気持ちになれました♪
『ペンタクルとワンド』まだ見ぬ今後へ着実に考え行動してく
この先どんな出来事が待ちかまえているのか
どんな未来を描くのか
まだはっきりとは見えないけれど
しっかりとした礎を築くため
協力者と話し合い
できる限りの奮闘をするべし
『ワンドの3』が逆に出ているので、新生活が始まってこの先の展望はまだはっきり見えてこないかもしれませんが、『ペンタクルの3』は、建築するために必要な話し合いをしているカードですので、然るべき人たちとしっかり相談をしながら、『ワンドの7』ということで、自分自身できることを奮闘する。
そんな3月ということかなと読めました。
なんにせよ、『愚者』のメッセージがきているので、のびのびと、何が起こってもOK、楽しむ気持ちで過ごしていこうと思います(^ ^)
星の物語を読む方法〜西洋占星術を初めて学びたい方へ〜
こんにちは!なかむらむつらです。
小さい頃、田舎に住んでいた私は、夜、外に出て星を眺めるのが好きでした。
あの綺麗な光たちが「星座」という絵を形作っていることを知ったときは、夜空は絵本のようになりました。
そして、成長して「自分の生まれたときの星」が、自分自身を描き出しているという考え方があると知ったとき、その法則について貪るように勉強し始めてからは、「星」は自分の中で輝かせるべきもので、私自身でもあるんだと、とても重要な「核」を見つけてしまったような気持ちになりました。
かれこれ10年以上、自分が持って生まれた星を読みながら、私だけの物語を作っては、その物語を生きてみて、なんか違うとつまづいて、ときには新しい発見をして、何度も作り変えた地図のようになった星の物語と寄り添うように、ここまで歩いてきました。
古代ギリシャの時代から、学問として続いてきて、現在は星占いとして親しまれている「西洋占星術」。
このとっても面白くて深い星の物語の読み方を、必要としている方の元に届くように、ブログで少しづつ紹介していきたいと思います☆
宇宙の動きが個人の人生について教えてくれるのはなぜ?
なぜ、太陽や月といった大きな宇宙の動きが、個人の性質や人生についてを教えてくれるのか、不思議に思いますよね。
哲学や社会学の文脈で説明されていることに、「大宇宙(マクロコスモス)」「小宇宙(ミクロコスモス)」という概念があります。
大宇宙(マクロコスモス)は、太陽や惑星たちを含む空に広がる世界を表します。小宇宙(ミクロコスモス)は、人間や植物、鉱物などの地上にあるものをあらわします。
大宇宙はブラフマン(全体)で小宇宙はアートマン(個)であるとし、それが同じものを指すと考えられています。
だから、星の配置が教えてくれる真意を読み解くことで、地上で起こる出来事や、そこで生きる私たち人間の運命まで紐解くことができる、ということになるのだそうです。
私もあなたも、完全なる小さなひとつの宇宙なのですね。
~有名な詩人の一節~
一粒の砂に世界を見、
一輪の野の花に天を見る。
汝の掌に無限を捉え、
一時の中に永遠を見よ。
基本は「惑星」「12星座(サイン)」「ハウス」の意味を知ること
「西洋占星術は覚えることが多くて、複雑で、難しい。。。」
勉強をし始める方の中から、こんな声を聞くことがあります。
確かに、本来の星占い、西洋占星術は、
「私は天秤座だから、こんな性格♪」
というシンプルなものではありません。
もっともっとも〜っと、深く自分自身を追求していくことができるツールなのです。
まず、読み解きたい人の
・生年月日
・生まれた時間
・生まれた場所
を調べておくことからスタートです。
そのデータをもとに「ホロスコープ」という、その人の生まれた瞬間の星の配置図を導きだします。
例えば、今日2019年2月15日午後1時に東京で生まれた人のホロスコープはこちら。
最近はデータを入力すると無料でホロスコープを出してくれるサイトも多いので、誰でも見ることができますよ。
「生まれた時間がわからないのですが。。。」
という方もいらっしゃいますが、わからなくても、ある程度のところまでは読み解けます。
ただ、後に述べます「ハウス」を知ることができないので、情報としては少なからず薄くなってしまいます。
ホロスコープの「ホロ」は、「時間」を意味しています。
伝統的な占星術では、読み解きたいものの「時間」は必須だったのです。
10個の「惑星」=「主語」を知る
何はともあれ、西洋占星術は「惑星」(衛星もありますが)を知ることからです。
「惑星」は、物語で言うならば「誰が、何が」という「主語」の部分を担います。
・太陽:自我、人生で目指すもの、進むべき方向性、スイッチオンの自分
・月:無意識、潜在意識、感情、1番リラックスできる状態、スイッチオフの自分
・水星:情報、コミュニケーション、伝達、学問、移動
・金星:愛、美、センス、調和、女性性
・火星:戦い、情熱、怒り、欲望、生き残るために発揮される力、男性性
・木星:拡大、発展、保護、思想、慈悲
・土星:試練、抑圧、厳しさ、制限、現実的
・天王星:革命、改革、自由、発明
・海王星:夢、ビジョン、幻想、スピリチュアル、曖昧
・冥王星:破壊と再生、生と死、0か100か
「サイン(12星座)」=「述語(状態、どのように)」を知る
そして、次に皆さんに馴染みのある12星座、専門用語で「サイン」のそれぞれの性質を知りましょう。
このサインは、先程みてきた「主語」である「惑星」が、「どんな状態にあるのか」を見るためのものです。
例えば、先程例で添付したホロスコープをみると、【太陽】が『水瓶座』にあることがわかります。
この人の【太陽】は『水瓶座』の性質を持っているということですね。
【太陽】はその人が人生で目指していく方向性を示すので、この人は『水瓶座』的な性質、ざっくり言うと、固定概念や規定の枠に縛られず、自由に自らの知恵でもって軽やかに生きることを目指していく、と言えます。
12個のサインそれぞれの解説も、ぜひとも順番にじっくりと書いていきたいと思います☆
そして、その『水瓶座』の【太陽】をどんな場面で発揮していくのかを見るのが、次の「ハウス」となるのです。
「ハウス」=「どこで、どんな場面で」を知る
最後に「ハウス」について。
ホロスコープの図をみたときに、サイン(12星座)の区切りとは別に、内側に1から12までの数字が書かれていて、12の部屋に区切られているのがわかりますよね。
この1から12までの部屋を総称して「ハウス」といいます。
1のハウス、2のハウス、3のハウス、と順番に、それぞれ人生におけるテーマが割り振られています。
・1ハウス:自分自身
・2ハウス:所有物、才能、お金
・3ハウス:初等教育、コミュニケーション、近隣への移動、兄弟
・4ハウス:家、自分のルーツ、帰る場所
・5ハウス:遊び、表現、創造、子ども
・6ハウス:労働、奉仕、健康、メンテナンス
・7ハウス:パートナー、結婚相手、対人関係
・8ハウス:生と死、遺産、相続
・9ハウス:海外、哲学、高等教育、グローバルな知識、書物
・10ハウス:天職、社会との関わり、仕事、キャリア
・11ハウス:未来、希望、志を同じくする仲間
・12ハウス:隠されたもの、秘密、スピリチュアル
ざっと、このような意味になっています。
このそれぞれの「ハウス」の状態を読み解くことで、その人の「仕事」は?「結婚」は?「お金」は?といったことを細かく見ていけるのです。
例えば、先ほどのホロスコープを眺めると、『水瓶座』の【太陽】がある場所は「9」のハウスとなっています。
9ハウスは、海外や、グローバルで幅広い学びや知識を司る場所です。
ということは、このホロスコープの持ち主は、人生において海外で活躍したり、はば広い知識を活用して生きる道を選択するかもしれません。
また、本をたくさん読むことで、何かが見つかるかもしれません。
『水瓶座』の【太陽】なので、どこに行っても、国籍や環境の違いを感じさせないフラットな視点で物事に取り組んでいくのではないでしょうか。
そんなふうに、読み解いていくことができるのです。
【太陽】のほかの9天体がそれぞれ何座で、何ハウスにあるかを読んでいくだけで、とても詳細なその人だけの物語が浮かび上がってきます。
自分自身と向き合うための占星学
占いというと「当たるか当たらないか」「いい結果か悪い結果か」が主眼になるイメージがあるかもしれません。
私にとっての西洋占星術は、「星が教えてくれる私という人間」を客観的に眺め、どうすれば、唯一無二の「私」として人生を全うすることができるのかを考えさせてくれる豊かな情報源の一つです。
あくまでも、私を知るためのツールであり、この創造力を掻き立てられ多くの示唆にあふれる星の物語という道具を、どう使いこなすのか。
それが何よりも重要だと思っています。
(ちなみに、もともとの伝統的な占星術は、個人の内面についてよりも、時代の流れや世相、当時の権力者の運命などを見るために用いられることがほとんどでした)
なんとかと道具は使いよう。。。という言葉があります。
「占い」は、それを用いる人によって、素晴らしい道具にも、危険な道具にもなり得ます。
「占い」に行く人は、どんな占いをしてもらうかよりも、どんな占い師さんに見てもらうかの方が99%重要です。
本来、その人自身が自ら道を選択するための情報として、占いの結果を提示するのが正しいと思うのですが、ときに、その占い師さんが選択した答えだけだけを伝えられることもあって、それってなんだかなぁと思ってしまいます。
もちろん、占い師さんに「こうすれば願いが叶いますよ、幸せになれますよ」とズバリ教えてほしいから占いに行くのでしょうが。。。
あ、でも!それを信じるも、信じないも、その人の意志だとするならば、どんな場合であれ、その人自身が自ら選択した結果ということになりますね。
とにかく、占いをすることって、受動的に思われるけど、実はとっても能動的なものではないかと思うのです。
西洋占星術は誰でも使えます
西洋占星術は、霊感やいわゆるスピリチュアルな能力なんてなくても、勉強すれば使えるようになります。
所詮占いだし~なんて思わずに、一人でも多くの人に、自分だけが持つ星からのメッセージを読み解いてもらえたら、、、そして、1枚のホロスコープを囲んで、あらゆる物語の可能性をみんなで語り合えたら楽しそうだなぁなんて、夢見ながら、色々と綴っていこうと思っています♪
長くなりましたが、読んでくださって、ありがとうございました!
絶望名人『フランツ・カフカ』の星を読ませていただきました
こんにちは!なかむらむつらです。
「朝起きたら主人公が毒虫になっている」有名な小説『変身』の作者である「フランツ・カフカ」の文庫。
『絶望名人カフカの人生論』
もともと好きな作家さんだったのですが、このスタイリッシュなネガティブ発言満載の文庫を読んで、ますます好きになりました。
なかなかすごいです。一部抜粋させていただきます。
将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。
将来にむかってつまづくこと、これはできます。
いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。
「倒れたままって!」と思わずつっこんでしまいました。
つまづくことはできる。さらに、その上にこの強力な一文、最高のセンスで大いにツボに入ってしまいました。
短い文章ばかりですので、ぜひ手にとって、好きなページから開いて読んでみてください。絶望すぎて気持ちいいです。
カフカの星にはポジティブな木星が
さて、こんな絶望名人のカフカはどんな星を持って生まれているんだろう??
さっそくホロスコープを読ませていただきました。
どんなにネガティブシンキングな星かと思いきや。。。
幸運の星と言われる【木星】が、彼の生き方や自我を表す【太陽】に重なっているではないですか。
これは、西洋占星術の世界では、「前向き」「ポジティブ」「自己肯定的」などと解釈するのが一般的です。
その人の生き方の中心となる【太陽】ですが、カフカの【太陽】にはこの【木星】以外に他の星との目立った関係はありません。
一瞬、誕生日が間違えているのかな??と混乱したのですが、いや、まてよと。
蟹座は硬い殻で自分を守る
カフカの【太陽】は『蟹座』です。
『蟹座』は自分の居場所であり、基盤です。
とても繊細で傷つきやすい内面を守るために、カニのような硬い殻で自分自身や大切な家族や愛する人を守ります。
鉄壁の防御。
この文庫の中に、カフカの友人が残している言葉があります。
「君は君の不幸の中で幸福なのだ」
なるほどカフカは、絶望している自分を100%肯定していると捉えれば、とてもしっくりきます。
誰も寄せ付けないほど完璧に絶望して、その閉じた自分の世界の中で、絶望した自分自身をある意味愛して生きているととらえれば、【太陽】【木星】の重なりにそこまで違和感はありません。
ネガティブで絶望している自分を100%肯定している。そいういう意味での前向きさ。
なんかだかややこしいですが。
絶望名人カフカ、この人、最強なのでは、と感じました。
カフカのネガティブ発言を読んでも、全然暗い気持ちになったり、嫌な気持ちにならないのは、カフカが自分自身をちゃんと認めて愛してることがわかるからなんですね、きっと。
言葉のセンスは軽やかな月と金星と水星
それ以外の星も、濃厚です。
無意識や潜在意識、感情などを表す【月】は『双子座』で、そこに愛と美の星【金星】と、情報と伝達の星【水星】がダブルで重なっています。
『双子座』は伝達やコミュニケーションが得意で、好奇心の赴くまま、軽やかに動きます。
風の星座である『双子座』の軽やかさと【金星】の美意識、センスが、カフカの言葉を司る【水星】を生き生きと彩って、あの文章が生まれているのですね。
【月】は、無意識に表現されるものなので、それが自然にできてしまうのがカフカなのです。
彼の作品は、生きている間にはほとんど日の目を見ずに終わったのですが、それは、彼の表現を表すさっきの【月】【金星】【水星】に、自由と革命の星とされている【天王星】が少し難しい角度で関係しているのを見ると、致し方なかったのだと思います。
その時代には革新的すぎたということですね。
彼の情熱を表現する火星
さらに、情熱やエネルギーを表す【火星】は『牡牛座』で、夢とイマジネーションの星である【海王星】とぴったり重なっています。
『牡牛座』はとても粘り強く、自分の確固とした価値観を現実に持ち込みます。
それが【火星】という強いエネルギーを発散する星となっているので、【海王星】と合わさって、夢やビジョンを追いかけ続ける人とも読めます。
型にはまった平凡はどうでもよくて、自分の世界観に揺るぎない自信を持っています。
そして、この【火星】と【海王星】にも【天王星】が、こちらはとても良い角度でエネルギーを送っているので、独特の世界観を自分だけのやり方で表現していこうとします。
カフカは、どの時代にどんな環境で生まれたとしても、ほとんど変わらない「フランツ・カフカ」だったのではないでしょうか。
それくらい、彼は、自分を愛し肯定しているのだと思います。
自分をわかってくれる「他者」を求めて
カフカは小説以外に、膨大な数の日記や恋人に宛てた手紙を残しています。
『蟹座』である彼は、自分という存在を受け入れて守ってくれる他者も必要としていたのでしょうね。
「自分」という存在を強く意識したとき、それを100%わかってくれる人なんて存在しなくて、余計に寂しさや孤独を強烈に感じるようになるのかもしれません。
絶望的、ネガティブシンキング、弱音、これらは良くないように思えますが、誰もが持っている部分であり時々落ち込む穴であり、もしもこれを丸ごと受け入れて
「俺ってこんなに絶望的だぜ」
と人に胸を張って言えるなら、それはむしろ強みになり得るのかもしれません。
なかなか真似はできませんが、よかったらカフカの生き方、言葉、一度体験してみてください。
絶望と笑いコンビネーションから「強さ」を感じられるはず。
『ラピスラズリ』 著:山尾悠子 〜 冬に読みたいおススメの幻想小説〜
こんにちは!なかむらむつらです。
私がここ10年ほどで読んだ小説の中で、最も心奪われたといっても言い過ぎではない小説を紹介させてください。
著:山尾悠子
幻の作家と呼ばれた著者の山尾悠子さん
独特の文体で、幻想的で詩的な唯一無二の世界を執筆しておられます。
初期の活動が短く、1985年以降作品の発表がなかったことからも、長い間カリスマ性を持って、幻の作家、伝説の作家と呼ばれていたそうです。
私が初めて山尾悠子さんを知ったのは、この『ラピスラズリ』がきっかけです。
長い休筆期間を経て、1999年に執筆を再開してから2003年に発表された作品で、作者のご自身のあとがきにも、その思い入れを綴られていました。
私がこの文庫を手に取ったきっかけは、魅惑的な表紙と「ラピスラズリ」というタイトルです。
この表紙を目にしたら、幻想小説が好きな方は、びびっとくるものがあるのではないでしょうか。
『ラピスラズリ』を構成する物語
中には五篇の短編が収録されています。
一篇目の「銅板」でのエピソードから広がって、二篇目の「閑日」と三篇目の「竈の秋」が同じ世界を舞台にしてはいるのですが、それぞれが一つの世界を構築しています。
この三篇は、真冬の寒い季節を舞台にしていて、中世ヨーロッパの洋館、貴族と召使い、ゴースト、天使、人形、疫病、退廃、眠り、単語を目にするだけでもこの世ならぬ世界に引き込まれる期待が膨らみま
特に、二篇と三篇は共通する舞台で登場人物も重なり、崩壊していく世界を眺めながら、答え合わせをしていくように、読み進めていました。
それが、四篇目の「トビアス」では、現代の未来を思わせる世界へ飛びます。ここで、答え合わせのようなものは、意味を成さないことを知りました。
そこから最後の「青金石」では、西暦1226年が舞台となり、主人公はフランシスコ会を創始したアッシジの聖フランシスコ。
ここで『ラピスラズリ』というタイトルにつながるわけですが、初めてこれら五篇を読み終えた後は、しばらく、物語の世界から出て来られなくなりました。
私にとって、この物語たちは、思い出すたびずっと、本当に知っている景色のように、フラッシュバックのように、場面場面が浮かびます。
眠りと目覚め
季節は巡ります。
命は循環します。
再生するためには一度終わらせないといけない。死なないといけない。
死に一番近い行為は眠りです。
この物語は、再生するために眠る人たちの物語で、同時に冬から春へと季節が変わるときの物語でした。
幸せな気持ちで眠りについて暖かい春を待つ人。
眠りに抗い、厳しくとも起きていて冬を体験したいと願う人。
眠りの途中で目覚めてしまう恐怖、逆に目覚められないかもしれない恐怖に怯える人。
この感覚、どれもわかります。
眠りに身を委ねてしまうことへの甘美さと恐ろしさは、本能に刻まれている気がします。
物語の最後には、「青金石 ラピスラズリ」の青が溢れます。
「春」の訪れの鮮烈さ、強烈な美しさを甘受するためには、誰もが冷たく暗い「冬」を過ごすのです。
そこには、あらゆる物語が生まれ蠢いているのですね。
タロットカード『死神』
この物語を読んでいて、ふと浮かぶのは、タロットカードの1枚『死神』のカードです。
『死神』のカードが示すのは
・死と再生
・物事の終わり
・変化
・変わらざるを得ない出来事
立派な馬に乗った骸骨の騎士がやってきます。
それを、両手を差し出し迎えているように見える、豪華な衣装を身にまとった位の高そうな司祭がいます。
他に、既に地面に倒れている男性、身をゆだねるように膝をついて目を閉じる少女、不思議そうに見つめる小さな子ども。
恐ろしい異形の物の登場の場面ですが、混乱や恐怖の影は濃くありません。
白いドレスの少女はあきらめているようにも見えるし、司祭は待ちかねていたようにも見えます。
死は誰にも平等に訪れます。
恐ろしい骸骨の騎士と対峙している人々の向こう側には、まばゆい朝日が昇ろうとしています。
「終わり」がもたらす「光」が必ずあるということ。
『死神』のカードは怖いものではなく、必要な変化を受け入れることの大切さを教えてくれます。
終ることは絶望ではないのです。
『ラピスラズリ』私にとっては、冬になると、懐かしい場所に帰るように読みたくなる作品です。
めったにありませんが、窓の外を吹雪が舞飛ぶようなことがあると、この物語に登場する「冬眠者」たちに想いを馳せてしまいます。
ぜひ、春が来る前に、眠り目覚めるものたちの世界に身を浸してみてください。
星が伝えてくれる物語は本当に面白い〜初めて読む西洋占星術のオススメ本はこれ〜
西洋占星術は難しい?
こんにちは!なかむらむつらです。
色んな本を手に取る中で、どんな雑誌を見ても『星占い』が載っていました。
恋をしているときなんて、相手と自分の相性は?今月の恋愛運は?などなど、希望と不安入り混じった気持ちで、占いの記事を読み込んだこともありました。
大学生になったら、自分で「占いの館」のようなところに行ったこともありました。
ある日、ふと、疑問に思いました。
「なんで、この占い師さんは、こういう結果を伝えたのだろう」
特に、生年月日を元に占うものは、どんな人が占っても同じ結果になるってことだよな?
その日から、私の「西洋占星術」の探求が始まりました。
とにかく、書店で手に入る西洋占星術関連の本はほとんど読んだと思います。
西洋占星術を勉強したことがある方はわかると思うのですが、これ、初心者にはなかなか複雑で、難しいのです。
牡羊座の人の性格は、リーダーシップを発揮するのが得意!そんなシンプルなものではないのです。
その人が生まれた時間、場所がわかれば、『ホロスコープ』という星の配置図を出して、そこからあらゆる情報が読み解けるとされています。
性格、仕事、天職、恋愛、お金、結婚、、、その人が持っている今世での可能性の全てを、1つのホロスコープから読み解くことができるのです。
さらに、現在の天空の星模様と照らし合わせて、その人がどんな時期にあるのかといういわゆる「運勢」も自由に読めます。
それだけのことを読めるようになるためには、かなりの知識が必要で、私も「わからん。。。」と投げ出しそうになりました。
でも、しばらく経つと、やっぱり星が放つ言葉に大きな可能性が秘められていることを感じずにはおれず、わかりやすい本はないか、サイトはないかと、ウロウロ彷徨ったものでした。
そんな経緯を経て見つけました!!
西洋占星術を初めて学ぶのにおススメの本
自分でホロスコープが読める本
『しあわせ占星術』
著:まついなつき 監修:松村潔
西洋占星術を勉強するには、まず、『太陽』『月』『水星』『金星』『火星』といった惑星たちが、それぞれどんな性質を持つのかを知らなければなりません。
この本は、漫画を交えながら、とてもわかりやすくそれぞれの惑星の性質の違いを教えてくれています。
さらに、サイン(12星座)の持つ性質を「四元素」「三区分」」の観点から詳しく説明してくれて、一番難しいとされる「アスペクト」という惑星同士の位置関係による解釈も教えてくれているのです。
ちょこっと四元素と三区分のお話し
12星座はそれぞれ「火」「地」「風」「水」の四元素にわかれています。
同じように「活動宮」「不動宮」「柔軟宮」という三区分にも分類されます。
例えば、「火」のグループは『牡羊座』『獅子座』『射手座』です。
この3つのサインそれぞれが、
・牡羊座=活動宮
・獅子座=不動宮
・射手座=柔軟宮
の三区分にわかれるのです。
3つのサインは、「火」の元素なので、「火」のごとく燃え上がり上に上っていくような性質。「直観的」「衝動的」とされます。
ただ、同じ「火」でも、
・活動宮の牡羊座は、あちこちに飛び移る軽やかな活動的な火
・不動宮の獅子座は、同じところでずっと燃え続ける火
・柔軟宮の射手座は、その場や状況に合わせて形を変えることのできる火
という風に違うのです。
この、四元素、三区分を理解できると、12星座の性質が格段にわかるようになります。
私が持っているのは古いのですが、今は改訂版が出ていて、よりわかりやすくバージョンアップされています。
この本を読んで、やっと、星を読むための下地ができたような感覚になりました。
そこからは、少し難しい本も、少しずつ理解できるようになって、どんどん、勉強するのが面白くなりました。
この本には感謝の気持ちでいっぱいです。
とってもおススメです!
西洋占星術関連で、他にもたくさん参考になる本がありますので、追ってご紹介していければと思います。
読んでくださってありがとうございました。
タロットカードを読む~2月はどんな物語~
タロットカード
こんにちは!なかむらむつらです。
物語好きの人にとって「魔法」「おまじない」「占い」などというのは、なんとも心惹かれるものがあるのではないでしょうか。
かく言う私も、昔からファンタジーや幻想小説が大好きなので、目には見えないものたちがうごめく世界、ちょっと怪しげな世界には興味深々でした。(怖がりなので、ホラー系はダメですが・・・)
大人になってから、『タロットカード』などという魔法のアイテムが、気軽に本屋さんで買えることを知って、さらには全くの初心者でもガイドブックに沿って練習すれば、占い師さんよろしく自分で占いができることを知って、大興奮いたしました。
わからないなりにもカードを1枚1枚手に取って眺めるだけで、絵の中に秘められた神秘的なシンボルや、その緻密な作りにうっとりしてしまいます。
初めてタロットカードを手にしてから10年以上経ちますが、改めて、
なんて物語を作るのに有用なツールなのだろう!
と、感じます。
せっかくブログで記録を残せるなら、毎月のカードを引いて、その月の物語(私の個人的なものになりますが)を作ってみようと思い立ちました。
2月の物語
今月使うのはこのカードデッキ。
鳥たちが主人公になった『鳥タロットカード』です。
とっても可愛くて、タロットカードは怖い絵があって苦手という方にもおすすめです♪
私の2019年2月はどんな1ヵ月になるのか、3枚で引いてみました。
左から
・ソードの10
・運命の輪
・カップの10(逆)
ようやくこの時が来た。
考えていたより、早くても、遅くても、運命の歯車は回り出したということ。
怖がらずに見ないといけない。
ちゃんと見ることができたなら、その痛みは全くの、概念だけでできた張りぼてだということが、わかるから。
藁人形に刺さった剣。
呪いの藁人形。
正体が分かれば太刀打ちすることができるはず。
水平線、黒い雲の向こうには、光が射しているんだよ。
幸せだった日々にもさようなら。
今この時を、逃さない。
2月が終わったら、実際どんな月だったのかを振り返ろうと思います。
楽しみ!
しかし、けっこうヘビーな3枚でした。心してゆこう。
物語のうまれ方〜小川洋子さん、河合隼雄さんの対談本〜
はじめまして!なかむらむつらと申します。
小さい頃から本が好きでした。漫画から小説から、ジャンルを問わず、今でもそうです。
7年ほど前に、この本のタイトルを見て、
「そうだ!!!その通りだった!」
と、数十年生きてきた間に考えたこと、試行錯誤したことに関わる、色んな謎が解けたような気持ちになったのです。
大好きなお二方の対談本です。
河合隼雄さんは、この対談からほどなくしてお亡くなりになりました。
文庫の帯には、
「奇跡のように実現した二人の出会い」
と書かれていました。
私にとっても、この本は、目がさめるような出会いでした。
探していたモヤモヤと実態のない正体のわからない不安と焦りの原因であるものの、その捕まえ方を教えてくれました。
捕まえてみたら、絶対に素晴らしい宝物になること、世界を知る手掛かりになることも、信じることができました。
人生をかけて、たくさんの物語を探そうと決めました。
そうやって世界を眺めると、書物はもちろん、音楽、絵、歴史、哲学、仕事、家族、友達、、、物語はあらゆるところに存在していて、驚かされたり感動させられたり、新しくて面白い発見がとめどなく!
同じものを見聞きし、体験しても、人の数だけ違う物語が生まれるということに、人間のあらゆる可能性を予感せずにいられません。
この本の本文中に、
都合のいいことが偶然が起こりそうなときに、それが絶対に起こらないと先に否定している人には絶対に起こらない
というようなことが書いてありました。
漫画みたいな、小説みたいな出来事を体験するもしないも、自分次第なのですね。
このブログで、そんな心構えをもって、身近なところから遠いところまで、様々な「物語」との出会いを、私というフィルターを通した視点から、新たな「物語」として書き記していきたいと思います。
何卒、よろしくお願いいたします。